中東1948年の国連分割決議をどう見るか

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なし 中東1948年の国連分割決議をどう見るか

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2023/12/30 9:13 | 最終変更
タツ  管理人   投稿数: 2447
中東におけるパレスチナ紛争問題の最も大きな原因の1つは領土をイスラエル側とパレスチナ側に分けた1948年の国連分割決議です。当然、国連分割決議前のそれぞれの人口、土地割合が焦点となります。

この国連分割決議前の人口割合について、日本の有名な中東専門家の第一人者をはじめ、殆どの専門家はユダヤ人が65万人、でパレスチナ人(アラブ人)が100万人以上だったと主張し、これが通説となっています。

しかし、この人口比について、当時の国連の公式資料データをもとに100万人以上だったされるパレスチナ人(アラブ人)の中には全く関係のないヨルダンに住むパレスチナ人60万人以上が加えられているという大きなデータの誤りを指摘しているYoutube(YouTube 中東問題真相はこうだ!イスラエル悪玉論の原点を論駁する ごうちゃんねる)があったので備忘録として残しておきたいと思います。

ここでは当時の国連の公式資料データをもとにより正確な人口比、土地所有状況、割り当てられた土地の状況なども具体的に解説しています。

ただし、残念ならこのインターネットで容易く国連の公式資料データにアクセスすることはできませんでした。しかし、何の根拠もなく解説する専門家よりも信憑性の高い解説です。この解説に沿って検証してみました。

国連分割決議前のパレスチナの状況(国連の公式資料データによるもの)
■人口比
ユダヤ人 = 53万8000人(57.5%)
パレスチナ人(アラブ人) = 39万7000人(42.5%)
ユダヤ人の人口はパレスチナ全体の人口の73%を占めていた(これはアラブ人を含めたユダヤ側の人口と解釈されます)

■土地所有状況
ユダヤ人所有地 = 8.6%
アラブ人所有地 = 3.3%
アラブ所有の放棄地(持ち主が分からなくなっている放棄地) = 16.9%
公有地(イギリスに委ねられていた移民統治領) = 71.2%

■割り当てられた土地の状況
パレスチナ側 出来上がった町に住むことができていた
イスラエルの側 北と南に分断され、北は湿地帯でマラリアの風土病があり、南のほうはネゲブ砂漠の不毛の土地であった

国連の公式資料データによるパレスチナにおけるパレスチナ人(アラブ人)は39万7000人です。日本の専門家の多くが100万人以上と言及するのはパレスチナ問題とは全く関係のないヨルダンに住むパレスチナ人を加算しているからです。日本の有名な専門家でなぜヨルダンのパレスチナ人を含めるのかという解説をする人は誰も居ません。逆に、この誤ったデータをもとに解説を展開する専門家は数多く見受けられます。

また、ユダヤ人の人口はパレスチナ全体の人口の73%を占めていたとのことから、ユダヤ側の人口は68万3280人(うちアラブ人14万5280人 21.3%が含まれている)と考えられます。これらのことから国連分割決議前の人口状況、土地所有、割り当てられようとした土地を考えれば、寧ろイスラエル側にとっては不利な条件を突きつけられていることになります。つまり、日本の専門家の解説とは全く逆のことが考えられます。

国連分割決議前の地図についても大きな問題があります。この地図はアラブ人所有地は全体の3.3%にも関わらず、8.6%のユダヤ人が所有している土地を単に表示しただけの地図で、まるで、91.4%の土地がアラブ人所有地だと誤解させる地図です。日本の有名な専門家はこの地図を多用しますが、このようなそれぞれの土地所有状況を解説をすることはありません。即ち、この地図そのものが大きな誤解を生む元凶だと考えられます。正しい領土分布地図に変更すべきです。

さて、
Youtubeで別のある専門家の解説で、国連分割決議後の地図を指して
引用:
この緑の部分ってアラブ国家の部分っというのはほぼ100%アラブ人なんですがさっきも言いましたようにこのユダヤ国家の部分っていうのはそのユダヤ人が多数いる都市部これアラブ人もいるんです。たくさん包摂していますのでこの ユダヤ国家はあのユダヤ人人口というのは大体40%はアラブ人になります。ベングリオン(初代イスラエル国家の首相)が何と言ったかというとユダヤ国家ができたとしてもユダヤ人の人口が6割では安定的かつ強力なユダヤ国家にはならないと言っています
そして、このベングリオンの発言をもとにユダヤ国家の6割以上のユダヤ人にするため4割のアラブ人の民族浄化を行っているという論理を展開しています。

このベングリオンの発言は正しいと思います。なぜなら民主政治を行う上で他民族が占める割合が多いと国家として成り立たないからです。

しかし、国連の公式資料から計算するとイスラエル建国当時のアラブ民族が占める割合は上記でも示した通り、総人口68万3280人に対してアラブ人は14万5280人で21.3%に相当します。

仮にイスラエル建国当時のアラブ民族が占める割合が40%として国連の資料データから計算すると

ユダヤ側の人口は
53万8000(国連公式資料によるユダヤ人人口) 
+ 35万8667人(40%のアラブ人が居るとして) 
= 89万6667人
となります。

とすれば残りのアラブ人の人口は
93万6000人(国連公式資料によるパレスチナの総人口) 
- 89万6667人(ユダヤ側の人口) 
= 3万9333人(4.2%)

これではユダヤ人側の人口がパレスチナの総人口の95.8%を占めることとなり全く有り得ない数字となるのが分かります。つまり論理自体が破綻しています。

この論理が成り立つとすれば実際のアラブ人の人口に加算しなければなりません。つまり誤ったデータ(パレスチナ問題とは全く関係のないヨルダンに住むパレスチナ人を加算している)を引用しているのです。このようにこの誤ったデータは多くの専門家に大きな影響を与え、誤った論理が展開される可能性があることが分かります。

さて、このごうちゃんねるの「中東問題真相はこうだ!イスラエル悪玉論の原点を論駁する」では、中東専門家の第一人者が意図的にパレスチナにおけるパレスチナ人の人口にヨルダンに住むパレスチナ人の人口を加算した理由はわからないと言及していますが、2つのことが考えられると思います。

1つは紛争の根本的なデータ資料であり、これをもとに多くの専門家が論理を展開しているので今さら変更することはできない。もう1つはアラブ側の資料をもとにデータを作成した。ということが考えられます。

多くの日本の専門家はイスラエルのことを一方的に非難します。その理由の1つにこのアラブ側の主張、資料というものをそのまま受け入れて論理を展開していることが多々あります。国連の公式資料データよりもアラブ側の資料、主張を優先しているのではないでしょうか。この傾向は今回ハマスがイスラエルをテロ攻撃した際の有名な専門家の解説にも見受けられます。

我々、一般人は中東問題については殆ど分かりません。なぜなら殆どの人は英語、特にアラビア語を正確に理解することができないからです。従って、有名な肩書のある専門家のフィルターを通して中東を見ることになり、事実でないとしてもそれを事実として認識する傾向があります。しかし、今回の件で有名な肩書のある専門家はデータの誤りを指摘されても反論はおろか、訂正すらしない、つまり信用に値しないということがよくわかりました。

この度、信用できる専門家、あるいは研究者かどうかという判断は、肩書があるか、有名かどうかではなく確固たる根拠をもとに筋の通った解説しているかどうかということがポイントだと改めて考えさせられた次第です。
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