ラルンガル(中国)

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2016/12/25 9:09 投稿者:  kuromame  (記事一覧)  [ 4128hit ]

ラルンガルゴンパの絶景
ラルンガルゴンパの絶景
展望台から
展望台から
中心部の寺
中心部の寺
 
いよいよ今回の旅の目的地、ラルンガルゴンパへ行く日です。午前2時。ダウンジャケットを脱げないほど冷えきったなか起床。まだ10月初旬ですが、標高3500mのこの町、ルーフォーはすでに真冬並みの寒さ。約束の午前3時にロビーへ降りたが、タクシー運転手はまだ来ていない。3時半頃にやっと運転手がやってきて、ロビーのソファーで寝ていた中国人青年を起こし、彼と僕らをタクシーに乗せた。この青年は、成都から東チベット旅行に来ているヤン君という大学生。

宿のスタッフから僕らがラルンガルへ行くということを聞き、一緒に行く事にしたらしい。少し英語の話せる彼は、温厚でとても感じの良いこでした。いよいよ真夜中の町を出発。町を抜けると勿論街頭もなく、本当に漆黒の闇でした。出発してからたった5分ほどで数十メートル先に検問が見えた。

よく見ると…検問のバーが閉まっている!しかも検問ボックスの中に人影が。ここはまだ外国人立ち入り禁止エリアではないものの、情勢が不安定な時は急に他の町も立ち入り禁止になる事があると聞いていたので不安が募る。検問所の公安(中国の警官)に止められたら、こんな時間に外国人が移動している事を不審に思われる可能性は非常に高い。いきなり終わったかもと思いました。

しかし、運転手はスピードを落とさず、脇道ぎりぎりに寄り、バーと岩壁の間の車一台が通れるような隙間をすり抜けた。運転手は、僕らの方を向いてニヤリ。どうも慣れている様子だったので、ここの検問はいつも閉まっているのかな。まあ、とりあえずは一安心。

走り始めて30分ほどで舗装されていない砂利道に突入。ガードレールもなく、運転を誤ったら一発アウトという道でしたが、運転手が東チベットらしくない安全運転だったので、ひやっとする事はありませんでした。そして、ルーフォーを出てから3時間が経過し、いよいよ問題の検問があるセルタという町へ。

外国人が必ず追い返されるという検問所がある場所です。セルタの町の地図。地図でいうと、僕らは下側(南側)にあるルーフォーから北上してきました。右上の赤ピン周辺が町の中心、左下の赤ピンが検問のある場所です。このセルタの町のT字路を左折すると、ラルンガルへ続く一本道ですが、すぐに検問所があります。
https://www.google.co.jp/maps/@31.869342,100.7281889,17z?hl=ja


ここでもし公安に見つかれば、夜が明けてから成都行きのバスに乗せられ、追い返される可能性も十分にあります。セルタの町を抜けるとすぐに検問所があるとは聞いていたけど、本当にすぐでした。突如目の前に現れた検問。そして肝心のバーは…開いている!!検問ボックスにも誰もいない。検問バーの下を通過する瞬間、フラッシュが5、6回光ったけど問題はなく、そのまま通過。

とりあえず第一関門は突破できました。しかし、検問はこの先にもいくつかあるそうなので、まだ安心はできない。そこから山道を走ること2時間。さっきまで見とれてしまうほど綺麗な星空が広がっていたのに突然の大雨。しかも止む気配はない。そしてさらに走ること30分、ついに運転手が「ラルンガル!」と言った。ついにラルンガルの麓までやってきました!が、ラルンガル入口の検問のバーが閉まっていて、その前に車の行列ができている。運転手に何故バーが閉まっているのか聞きたいけど、彼はチベット語と中国語しか話せない。

ヤン君に僕ら外国人がラルンガルに入れないことを説明し、何故バーが閉まっているのか運転手に聞いてもらいました。運転手は「検問のバーは7時にオープンするから、そのあと通過する。多分ここの検問所は、身分証明書のチェックがないから外国人だとばれないし問題ない!」と言っているらしい。多分って…日本人が言う「多分」は約70%ぐらいの確率で当たるけど、海外の多分は約30%ぐらいしか当たらないので余計に不安が募った。もうバーが上がる前に徒歩で入ってしまおうかと思っていると、パトカーに乗った警察が検問所にやってきてしまいました。バーはまだ上がっていないが、警察は配置済み。最悪のパターンです。

しかし、そんな状況のなか、地元人や中国人旅行者がバーの横にある人が通れるスペースを徒歩で抜けていく。警察は何も止める素振りを見せない。外はまだ薄暗く、雨もまだ降っているので人の顔は見えにくい。行くなら今のうち。そう思っていると、ヤン君が「今から僕と一緒に行こう!もし、警察が何か聞いてきたら僕が中国語で対応するよ。」と言ってくれました。ありがたくヤン君について行かせてもらう事に。そして車から外に出て、検問所に近づく。暗くてよくわからなかったけど、検問所前に立っている警察がこっちを見ていた気がした。そして検問所を通過…したのはいいが、向かいから歩いて来た中国人旅行者が僕に中国語で何か話しかけてきた。まだ警察に声が届く距離。やばいな。と思っていると、すかさずヤン君が中国語で神対応。なんとかヤン君のおかげで事なきを得ました。

ついにラルンガルの中に入れました!思わず「入れた…」と声を漏らしてしまいました。その瞬間、ヤン君が慌てて小声で「Don't speak!」と言っていましたが、僕は跳び跳ねたいぐらい嬉しかったです。(笑) そこから歩くこと約40分。夜が明けてきたころ、遠くにラルンガルの町並みが見えてきました。この町のなかにある無数の家々は、全て僧侶と尼さんのものです。ヤン君と記念撮影。麓から1時間半ほど歩いた所でラルンガルゴンパの中心部に到着。中心部の広場にあった食堂でお粥と肉まんを注文。お粥は日本と同じ味、肉まんの中身は米でした。考えてみたら仏教徒の町だから当たり前か。


そこからさらに階段を上がって行き、展望台を目指す。上の方は標高4300mぐらいあります。息切れ&頭痛と格闘しながら、ついに展望台へ。ラルンガルゴンパの町並みです。曇っていたけど、十分に迫力ある町並みです。しばらくすると、段々と晴れ間が見えてきました。


そして再び町の中心部へ向かいました。一度見れば必ず天国に行けるという寺院。五体投地をする若い尼さん。


展望台から中心部へ向かう道。大きなマニ車がありました。一応、日用品雑貨店のような所もあります。ちょくちょく店に入ってみたけど、他の町に比べると物価は少し高い気がする。



中心部の広場に戻ってきました。完全に青空が見えてきました!これこれ!本当に絶景です!やっぱり晴れた時は見栄えが抜群に良い。大満足しながら下山することに。



ちなみにヤン君とは途中ではぐれてしまいました。同じルーフォーの宿に戻ると言っていたので後で会えると思っていたけど、何故か彼は帰ってきませんでした。結局それっきりで再会できなかったので、連絡先を聞いておけば良かった。
 
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